かつての和製RPGのスタイルは決して廃れたわけではない。アップルのApp Storeや、マイクロソフトのXbox LIVE マーケットプレースを見てもわかるとおり、スーファミやメガドラの時代を思い起こさせるテイストのゲームは、インディーズ系では数多くリリースされている。それは、開発コストが安くすむからだけではなく、和製RPGがもっていたスタイルに格別の愛情を注ぐ人が今もなお多いからだろう。
昨年大ヒットした映画「インセプション」は、アクション満載の映画であると同時に、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公コブが、帰るべき家を見つけるまでの旅路を描く物語でもある。コブが失敗しても世界は滅びないが、彼の失うものは大きい。だからこそ観客はコブに感情移入できる。西部開拓時代を舞台にしたRockstar社のゲーム『Red Dead Redemption』でも、血塗られた過去と決別し、贖罪を求める主人公の痛ましい旅路にプレイヤーは引きつけられる。寡黙な戦士たちが神に立ち向かう話より、はるかに興味をそそられるというわけだ。